先日デザインにおいて設定を確認するため、ひさしぶりに本紙校正を出力しました。
本紙校正は10年ほど前まで印刷する上において必ず行う工程でした。
昨今のデジタル機器の進化とともに、印刷での近似色をデジタル再現する精度が格段に上がり今では再現できない加工(グロスやマット、パールなどの特色や特殊印刷)を用いる意外には本紙校正を出す機会もめっきり減りました。
デザインが完成した後に混色の制限の部分で少し問題がおこりました。
真ん中のものが入稿当初のグラデーション設定だったのですが、赤黄黒の部分がほぼ100%の設定になっており、トラブルが起こりやすい状況の設定であった事がわかりました。(リッチブラック部分)
インキの組み合わせによって様々な黒を表現することができますが、CMYKの合計値が高くなり過ぎると、4色ベタの状態と同じように、裏移りなどの印刷トラブルの原因となります。印刷物で黒を掛け合わせて使用する場合、CMYKの合計の目安は、コート紙なら350%以内、マットコート紙や上質紙などでは300%以内になりますので通常のオフセットなら初稿の設定でもなんとか問題ないのですが、今回は特殊な種類の印刷物で270%におさえる必要がありました。
この状態で印刷をおこなうと、乾きが悪くなったり、裏うつりを起こしたり、はたまた4色ベタが広範囲に渡ると、紙同士がくっついてしまい、その後の工程で用紙がはがれる際に、印刷面もはがれて傷がついてしまうことがあります(ブロッキング)。
この状態を避けるため、なんとかインキの総量を減らしてやる必要があったのですが、運が悪い事に黒の部分にグラデーションが掛かっているためK100の処理はできませんでした(左)。そこでリッチブラックの設定をできるだけ総量を減らしつつスムーズなグラデーションを出す必要がありましたが、MとYの設定が微妙に違ったため単純にグラデーションをかけると色調がずれる恐れがあったため本紙校正にて確認することとなりました(右)。
なんとか色も確認でき、問題無しということも確認することができよかったです。
最後は刷り上がりを確認しないとわからない点において印刷もやはり版画だなーと思う今日この頃でした。