人を動かす“かたち”の力

足形スリッパとゴミ箱の口に見るアフォーダンスとイラストの力

人を正しく動かす「形」の仕掛け

週末、運動会に行ったときのこと。
トイレの前に、ベニヤ板で切り抜かれた足形のプレートが並んでいました。
その中には、トイレ用のスリッパがきちんと収まっています。

靴を脱いでスリッパを履き、戻るときには自然と足形にはめるようにスリッパを戻す
誰かが「戻してください」と書かなくても、
人は自然に正しい行動をとっていました。

形そのものが、行動を導いていたのです。
それはまさに、**“状態が人を動かしている”**と感じる瞬間でした。

ゴミ箱の口も「行動をデザインしている」

同じような仕組みは、身近な場所にもあります。
たとえば、駅や公園のゴミ箱の投入口

  • 「紙くず用」は細長く、A4紙がそのまま入る形。
  • 「缶・びん・ペットボトル用」は丸い口で、円柱形を想起させる。
  • 「その他のごみ」は大きく開いた口で、形の制約が少ない。

このように、口の形が“何を入れるか”を無意識に伝えている
そこには言葉ではなく、形による「行動設計」があります。

アフォーダンス ── 形が行動を導くデザイン

こうした仕組みは、デザイン理論でいう**アフォーダンス(affordance)**と呼ばれます。
“形や配置が自然に行動を促す”という考え方です。

  • ドアノブの形が「引く」動作を促す。
  • 押しボタンが「押す」ことを知らせる。
  • 手すりの形が「掴む」ことを想起させる。

これらはすべて、「どう使うか」を言葉で説明しなくても伝わるデザインの言語
人は“形を見て”行動を判断しているのです。

イラストも“行動を導く”ためのデザイン

有限会社エイドのイラスト制作でも、このアフォーダンスの考え方を大切にしています。
医療・研究・教育の現場では、「どう伝えるか」だけでなく、
**「どう行動してもらうか」**が成果を左右します。

たとえば:

  • 医療機器の操作マニュアルで「手の位置」や「方向」を示す図
  • 安全教育で「正しい姿勢」と「誤った姿勢」を対比で見せるイラスト
  • 実験手順や工程を一目で理解できるフローチャート

それらはすべて、「見るだけで、次の行動がわかる」設計です。
つまり、イラストもまた視覚的なアフォーダンスと言えるのかもしれません。

おわりに ― “見せ方”が行動を変える

視覚情報は、言葉よりも早く、私たちの行動を変えます。
だからこそ、「どう見せるか」「どんな形で伝えるか」が重要です。

足形スリッパも、ゴミ箱の口の形も、
すべては理解と行動をつなぐデザイン

エイドは、こうした“行動のデザイン”を意識しながら、
医療・教育・研究などの現場で役立つ
**「伝わるイラスト」=「動かすビジュアル」**を提案していきます。

この記事を書いた人

有限会社エイド

大阪にあるイラストレーション制作に特化したデザイン制作会社です。2Dイラストレーションの制作から3Dモデル等の制作そこから派生する印刷物や企画書などのデザインをオールインワンで取扱いたしております。